文庫本の図書館貸し出し中止を文芸春秋社長が要請 について思う事
今日10/12のYahooニュースでこんな記事がありました。
売り上げ減少が続く文庫本について図書館での貸し出し中止を文芸春秋の松井清人社長が要請することが分かった。貸出数の4分の1を文庫が占める地域もあるなどと実情を示し、13日の全国図書館大会で市場縮小の要因の一つと訴える。
はああ?!なにを言ってるんでしょう?!
「文庫は自分で買うという空気が醸成されることが重要」と松井社長は言っているようです。
それは出版社(文春)の利益確保の観点から重要なんでしょ?!
別に図書館で借りようが、自分で買おうが読者側からしたらそんな空気ちっとも重要じゃありません。
昔から図書館に文庫本はあったのになぜ今になって貸出中止を要請するのでしょう?
図書館から文庫本を取り上げる大義名分が見当たりません。
出版不況が叫ばれる昨今、飯のタネを探すのに必死なのでしょう。
この事について考えてみました。
そもそも文庫本とは?
一般的に本はまず単行本として世に出されます。
単行本とは、文芸誌で発表された作品をきれいにまとめたもののことを言います。価格は高いですが、丈夫で保存しやすく、発売後すぐに読めるという利点があります。
一方文庫本とは、単行本が出版されてから大体1~3年ほどで後に、単行本より一回り小さいサイズで安く売られる本を言います。
通常単行本で人気になった作品は文庫本化されます。これは価格帯を下げ、小型化し携帯し易くすることで幅広い読者層に読んでもらうためです。
図書館で手軽に無料で貸し出しされるという事はこの趣旨に合致しているはずです。
今回の文春の要請はなんか文庫本の趣旨と逆行しているように感じます。
単行本なら百歩譲ってわからなくもないですが、なんで文庫本?って感じです。
文庫本不況は図書館が原因か?
そもそも文庫本が売れないのは図書館が無料で貸し出しているからだという論理は通用するのでしょうか? 確かに一因かもしれませんが、他にも大きな要因があるかと思います。
人口減少
単純に日本の人口は減少しています。
蒐集家じゃない限り同じ本を2冊以上買う人はいません。また読みたくなったら新たに本を購入する必要はなく読み返せば良いです。1度読んだ本は捨てない限り何度でも読めますから。
本は一度しか消費されない究極の耐久財って事です。ちなみにブルガリアには2500年前の世界最古の本があるようです。
何が言いたいかというと本を売るというビジネスモデルは絶えず新しい内容の本を売らなければ成り立たないという事です。
本の読み手も減っているという事もさることながら、書き手も減るという事は新しい本を生み出すというエンジンの回転数も減ることになり、ビジネスモデルが揺らぐ原因になります。
携帯できる娯楽の多様化
電車の中で1人で座っている人が何をしているか観察すると良くわかります。大体
・居眠りをする。
・音楽を聞く
・スマホをいじる
・本を読む
に限られます。昔は本を読む人が結構いました。でも今は圧倒的にスマホをいじっている人が大多数です。気軽に携帯でき、現実は違う世界にのめり込める手段が文庫本からスマホに移ったのは明白です。しかもこのシフトチェンジが年代を問わずに起こっています。
電子書籍の登場により本を読む手段が紙媒体からデジタル媒体に変化した事も大きいです。
人が携帯できる娯楽や手段が変われば、文庫本需要は少なくなります。
結局はコンテンツ
何だかんだいって、面白い本は売れます。ブログだってコンテンツが面白ければPV数だって増えるだろうし、固定読者も増えます。
また売上を伸ばしたいなら紙媒体の文庫本に固執するのではなく、今の時流に乗って電気書籍で売上を伸ばせばいいだけの話です。
というか文庫本が売れないとか言うんだったら文庫本化せずに単行本のまま発行部数を増やせばいいのです。そしたら高価格帯を維持しながら本を売ることができる。ひいては売上を伸ばす事が出来るのではないでしょうか?
無料で本を読む読者層の切りくずしという今あるパイの中で顧客を奪いあうような“みみっちい事”をせずに、正攻法で面白いコンテンツを生み出し続ける事に注力した方がパイ自体を増やせるし将来性があるのではと思います。
良いものほど無料になる
グーグル検索機能やG-mailは全てタダです。同じように金曜ロードショーで毎年夏休みに放映されるジブリ映画もテレビなのでタダで見ることができます。
CMやネット広告を見て商品を購入することで間接的にはコストを払っていると言えますが、基本的に良い物はタダになるのです。
図書館だって紙媒体の文庫本を読むという文化醸成に一役買っているという風に見ることもできます。文庫本が今後も読み続けられるための必要経費だと考えて、貸出中止なんて野暮な事せんでもいいのでは?と思う今日この頃です。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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