新人弁護士「青田買い」過熱について思う事
10/11付の日経新聞の記事で気になる記事を見つけました。
最近、その就職事情に異変が起きている。かつては「弁護士になっても仕事がない」と供給過多が批判されたが、ここ数年は逆に人材の奪い合いが激化。司法試験の合格発表前に内定を出す「青田買い」も過熱する。何が起きているのか。
つい最近まで弁護士って就職難じゃなかったっけ?と思い。この記事に関して思う事を書こうかと思います。
司法試験制度
簡単にいうと弁護士・検事・裁判官になる人が突破しなければならない国家試験です。
司法試験を受けるには①予備試験に合格済み、②法科大学院を修了済み(最短で2年で修了)のどちらかであれば受験資格があります。②のコースがメジャーみたいです。
司法試験自体は、短答式試験、論文式試験をパスすれば合格ですが、憲法、民放、刑法など様々な法律を学ばなければならず大変難関な国家試験です。またその後に司法修習を1年間受け、更に司法修習考試を突破すれば晴れて法曹家になる資格を得られます。今の司法試験は新しい試験制度で平成18年度から開始されました
司法試験データ
合格率は願書提出者/合格者で算定しています。
合格率は20%前後で2011年を境に出願者数が減少しています。就職難の影響で受験を控える人が増えたからでしょう。
それにしてもの2006年度(初年度)願書提出者の半分合格ってすごいなおい
2011年まで行われていた旧司法試験のデータは以下の通り
合格率は1~3%台、むちゃくちゃ難しかったんですね。それに比べると今の司法試験は合格率だけを見ると易しくなっているように見えます。でも法科大学院で2年間勉強しても2割しか受からないとなると結構リスキーな試験である事は変わりありません
公認会計士試験制度
司法試験とならぶ難関国家資格として有名な公認会計士試験。僕も大学生の時に2回目の受験で合格することができました。あの時は人生で一番勉強していたかも・・・
1年に2回ある短答式試験と、1年に1回ある論文式試験を合格するといわゆる公認会計士試験合格者となります。更に補修所に3年通い、修了考査(いわゆる3次試験)に合格し所定の実務要件を満たせば、晴れて公認会計士を名乗れます。2007年頃から合格基準を下げて合格者数を増やしています
公認会計士試験データ
合格率は願書提出者/合格者で算定しています。
2010年を境に願書提出者数が減少しています。就職難の影響ですね
士業であっても市場原理からは逃れられない
司法試験、公認会計士試験共に2010年頃から受験者数が減ってきています。
この頃といえば、リーマンショックの直後で日本経済が悪化していた時期です。いくら士業といえどもやはりサービス業です。お客さんの経済状態が悪ければお仕事もらえません。必然的に大手事務所は人員の新規採用を絞ります。
せっかく難関試験に合格しても働けないとわかったら資格取得を目指す人も減少すると・・・
これは身に染みて僕もわかります。
1回目の受験の時に短答式試験まで合格して就職活動をして大手監査法人に内定をいただきました。しかし論文式試験に落ちてしまった・・・
もちろん内定は取り消されました。
僕が受験する1年前までは短答式試験まで受かっていれば、監査法人は受験者を一時的に雇用してくれました。そして仕事をしながら論文式試験まで合格すれば正式雇用してくれていました。
当時監査法人も人出が足りていたようで、中途半端な状態の受験者を受け入れる余裕はなかったようです。論文式試験を受かった人でさえ就職できなかった人が多数いたようですから・・・
もうタイミングが悪いとしかいいようがないですね・・
国の需要見込みの甘さ
日本では、裁判期間が長い、弁護士費用が高い、国民への十分な司法サービスを提供できていないとの問題意識がありました。そのため法曹人口を増やすために司法試験制度を変えました。これにより司法試験合格者の数が増えました。
公認会計士も同じく当時、内部統制監査、IFRS(国際会計基準)の導入で人出が必要になるであろうということで、合格基準を緩め、合格者を増やしました。
しかし思った程需要が無かった・・・供給過多になり、弁護士・公認会計士の就職難が社会問題となりました。
国の需要見込みが甘かったとしか言いようがありません。
最近の法曹界、会計士業界
最近借金の過払い金が請求のCMが頻繁に流れています。宣伝主は法律事務所です。
今は、消費者金融への過払い金利息を取り戻し、その一部を弁護士報酬としていただくみたいなビジネスモデルが流行りのようです。
それに加え企業のM&A(合併・買収)や大型訴訟、不正調査など、多くの弁護士で対応が必要な仕事が増えているようです。
会計士業界でも人員過多を解消するための過度なリストラを行っていました。
自分の会社でも元会計士の人の中途入社が増えてきているなと感じていました
しかし2014年以降その反動で人出不足になり、困っているようです。複数の監査法人の採用担当者から試験合格者に直筆の手紙が届くなんてこともあるようです。
もともと士業を志す人は独立心が旺盛で、同じところに長く務めるような人は少ないようです。そんななか大手法人の人員調整はとても難しいんだろうなと思うと共に、本当に優秀な人は景気の波に左右される事もないのだろうなと思います。
士業といえども結局はサービス業、その人の持つ能力が道を切り開くのだろうと思う今日この頃です。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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